第11回 張飛と孔明の知恵比べ ~張飛と蒟蒻問答~


三国志解説 第11回は張飛孔明の知恵比べ ~張飛と蒟蒻問答~

・「蒼天航路」の蒟蒻問答
・ 落語「蒟蒻問答」
・ 「張飛孔明の知恵比べ」
・ [考察] なぜ張飛が問答の主人公なのか?
について紹介・解説しています。

以下は、動画の捕捉、または演出した個所の訂正です

■ 演出抜きのホントのお話
赤字部分が演出です。

曹操: 今日は中秋の佳節、私と知恵比べをしようじゃないか。

張飛は軍師の予想通りだったことに感心しながら、曹操の申し出を承知した。
曹操は両手で大きなお盆の形を作る。
黙って受け答えせよと軍師から言われていた張飛は、指三本を突き出した。
曹操は慌てて親指と人差し指で八の字を作って手を伸ばす。
すると張飛は落ち着き払った様子で、腹をポンポンポンポンと叩いた。

それを見た曹操は「ああ」と呻いて逃げ去ってしまった。

張飛
わっはっはっはっ。
曹操様の奴「今日は中秋節だから俺の屋敷に来て、こんな大きな月餅を喰えるか?」
と言いやがる。
だから「三個喰ってやる」と言ったら「いいや、八個喰え」と抜かしやがった。
だから俺様は腹を叩いて「呑み込んでやる」と言ったら、曹操様め、尻尾を巻いて逃げやがった。大方、今頃はでけぇ月餅でも作ってるんだろうよ。

それを聞いた諸葛亮は大笑い。
傍らで不審な表情の劉備にこう説明した。

諸葛亮:
偉大なる曹公が曹操が大きな輪を描いたのは「自分の勢力はお前らよりずっと大きいぞ」という意味でした。翼徳殿が指三本を出したので、賢明なる曹公は「ああ、張飛関羽諸葛亮がいるんだったなぁ」劉備関羽張飛の桃園の誓い」を思い出しました。
忠義に溢れる曹公曹操はこれに負けじと「自分には八十万の軍勢がいるぞ」と八の字を作りました。
しかし翼徳殿は腹を叩いて呑み下す振りをしたので、曹公はお可哀想に泣きながら引き返しました。
曹公はがっかりして、きっと病を得るでしょう。今年一杯保つかどうか・・・。
嗚呼、悲しいかな孟徳。痛ましいかな孟徳。惜しいかな孟徳。

 
出典: 機略・智謀の三国志 坂口和澄 (徳間文庫カレッジ)

■ 三國外伝と2代目林家正蔵
三國外伝 (彭小明 編集 / 上海文芸出版社/湖北省群衆芸術館編) が
小明は1930-2019/1/15
2代目林家正蔵は生没年不明。1839年に2代目林家正蔵を襲名。

ちなみに蒟蒻問答の原型があったとされる貞享年間は1684~1688年。
かなり古いね。

生きた時代的には正蔵の方が古いけど、どっちが元ネタか、残念ながらわからんね。
坂口氏は禅僧かなにかが明に渡ってこの話を伝えたのでは?と述べられていたが、やっぱりわかんないね。

張飛孔明の知恵比べ
劉備関羽張飛孔明を三度訪ねた。孔明は三語目にとうとう言った。
「それではこうしよう。私となぞなぞをして答えられたら、山を降りることにしよう」
劉備関羽がやってみようと前に出ようとしたところ、張飛が横から割り込んできて言った。
「先生、どうぞ、私がお相手致しましょう」
孔明がます天を指すと、張飛は地を指した。孔明が片方の手を出すと、張飛は両手を出す。孔明が三本の指で小さな円を描くと、張飛は九本の指で大きな円を描いた。そこで孔明が胸元で掌いっぱいの大きな円を描くと、張飛はうなずいて袖の中を指した。

なぞ解きが終わって、孔明が言った。「当たりだ。その通り。さっそく山を降りよう」

劉備は一体どういうなぞだったのか、孔明に尋ねた。
孔明は「私が天文と言うと、張飛は地理と答えた。私が天下統一と説くと、張飛は三国鼎立だと言う。
私が三回で元に戻ると言うと、張飛は九回でも元通りと言った。
私が胸中陰陽八卦ありと言うと、彼は日と月は袖の中に隠してあると言う。
どうだね。当たってるじゃないか」

劉備関羽張飛にいつの間にこのような深い教養があったのかとびっくり仰天、こっそり張飛にどうやって当てたのか聞いてみた。
張飛はカラカラと笑いながら、「諸葛先生が今日は雪が降ると言うので、俺は道が滑ると言った。それから先生は月餅を三つ持ってきたと言うので、俺は九つくらいなきゃ足りないと言ってやった。先生が月餅は大きいので食べ切れないと言ったので、俺は食べ切れなかったら、袖に入れて持って帰ると言ったんだ。こんな問題のどこが難しいんだい」
劉備関羽はこれを聞いて大笑いした。

三国志博物館集解 様より引用
http://blog.livedoor.jp/amakusa3594/archives/50190270.html